特集 市民活動と福祉
「えむえむ関東102号」より
=EMネット埼京=
東北EMサミット
被災地から学ぶ緊急勉強会 母から母へ

EMネット神奈川 小野田明子

放射能とEMについて

2012年2月18~19日、山形県かみのやま温泉で「東北EMサミット 被災地から学ぶ緊急勉強会 母から母へ EMセミナー」が開催されました。大雪が予想され、開催が危ぶまれましたが、当日は晴れ渡り、北海道から九州まで2日間で延べ340人が参加しました。
 
 
 
 
このセミナーは、20年間、チェルノブイリ原発事故で被災した子どもたちの保養活動をしてきた「チェルノブイリへのかけはし」代表の野呂美加さんの提案によるもので、放射能被害を含む被災地での経験に学び、EMでの対策や解決方法を出し合っていこうというものです。
被災地での悪臭対策、農地の塩害対策、土壌の放射能対策、健康対策と盛りだくさんのテーマで、2日間で計10人が事例発表を行いました。なかでも、注目されたのは土壌除染と健康問題で、放射能汚染の深刻さが浮き彫りになりました。

昨年の7月に「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」を立ち上げた野呂さんは、子どもたちの体調を心配するお母さんたちに「どうやったら子どもたちを守っていけるか」に応えるお話会を全国各地で行っています。そのひとつとして、EMXGの放射能の排出効果はもちろんのこと、18年前に経験したEMによる土壌汚染の低減データなどを伝えていることもあり、若いお母さんたちのなかで、EMに対する関心は日ごとに高くなっています。このセミナーにも、福島から北海道に避難している女性をはじめ、数十人の若いお母さんたちが参加しました。
野呂さんは、1994年にチェルノブイリ50㎡の土地(線量2マイクロシーベルト)に比嘉先生の助言で、5kgのEMボカシとEM希釈液をまいたところ、放射線量が4分の3まで下がってしまったという経験をしています。
「これは大変なことではないか。しかし、ただまけばいいというものではないのではないかと考えて比嘉先生と科学アカデミーとの共同研究をお願いした」とEMとの関わるきっかけを話しました。ちなみに2マイクロシーベルトというのは、人が住んではいけないところとチェルノブイリでは言われていて、現在廃村となっています。
ところで、この4分の3まで下がるケースは、福島県飯館村での土壌除染実験と似ていること。福島県のマクタアメニティのEM有機堆肥を使っている農産物には、放射性セシウムが不検出だったこと。また、㈱岩手コンポストのEM汚泥堆肥からも放射性セジウムが不検出だったことから、EM活性液だけではなく、EMで発酵した有機物が放射性物質を取り込むのではないかなど、議論がされました。
また、日本に保養にきたチェルノブイリの子どもたちにEM酵素風呂を提供してきた千葉県の岩井和廣さん、長年EMで野菜づくりをしてきた会津若松市の渡部政子さん、福島第一原発事故での放射能被曝を避けるためにEMをまいて実験した川崎市の金子慈教さんなどが、除染について報告しました。
いずれも、EM3号を加えたEM活性液を散布したことで、数値は一挙に下がった後、一時的に上がり、また下がるという傾向がみられました。

また、今後もっとも心配される食物による内部被曝については、低線量被曝の健康被害は必ずあると考え、「予防原則を徹底させること」とあかね台脳神経外科医師の杉本一朗先生が、17年前に発表された科学アカデミーのエフゲニー・コノプルヤ教授のEMを使った研究を解説しました。
被爆は酸化であり、人間も酸化すれば当然環境も酸化するとして、コノプルヤ教授は「抗酸化力」の重要性を説いています。野呂さんが、子どもたちには限りなく汚染されていない食品を与えること。
チェルノブイリの子どもたちがEMXゴールドを飲むことで、体内の放射性物質が排出されたことを踏まえて、ビタミンやミネラル、ことに玄米や発酵食品の摂取が、これからの子どもたちの将来の健康に関わると強調しました。

2日目には、被災した人、EMを活用している人、農業関係者と3つのグループに分かれて、話し合いがもたれました。
なかでも、福島のお母さんたちの声は、「まず、食品にベクレル数値を出すことを義務付けてほしい」「EM野菜が手に入る流通システムを作って欲しい」「学校や仕事場でのマスク着用を義務付けてほしい」「学校行事、特に運動会は地べたに座る機会が多いのでリスク高まる。学校の先生の意識改善も必要」「給食の安全を早急に確立してほしい」など、切迫した意見がたくさん出されていました。
一方、食べる側が深刻ならば、つくる側も同じように深刻です。「つくっても消費者に買ってもらえない苦しさを誰にも訴えることができない」と話す農家に「これは、風評被害ではなく、東電被害なのだ」と励ます参加者もいました。塩害で作付けを禁止されたにもかかわらず、稲作を行い見事成功した宮城県の農家・鈴木英俊さんは、「津波の被災地は作付けして、福島では作付けを中止すればよかったのかもしれない」と農水省の見当違いをやんわり批判していました。

 また、福島第一原発はまだ収束していないこと、土壌から地下水、海水へと放射能汚染は拡大していくこと。放射性セシウムの基準が下がったとはいえ、安全とはいえないことなどをもう1度確認した女性参加者は、「こんなにも大変なことになっているとは思わなかった。EMがお役にたつならば、若いお母さんに活性液の作り方や、使い方を教えてあげたい」「幼稚園や保育園の砂場などにEMをまいてあげたい」などと子どたちを育てるお母さんたちの心配を少しでも軽くしてあげたいという気持ちが伝わってきました。

その後には、EMを長年暮らしに使っている高坂早苗さんや地元山形県長井市の遠藤かつゑさんらが、EM酵素ジュースの作り方を実演しました。新鮮な果実からつくる酵素ジュースは、内部被曝を少なくすると今やお母さんたちの必修メニューということもあって、参加者の注目を浴びていました。
最後に福島市の梨農家・大内有子さんの「事故のあと、すぐに正確な情報が伝えられていたら、福島の子どもたちの被曝は避けられた。しかし、EMを使って農地や校庭を除染することで、希望を見出している」という2月ニューヨークで行われる第56回国連女性の地位委員会で女性農民の代表としてスピーチする予定のメッセージが読み上げられると、会場からはすすり泣きが聞かれました。
すでにEMを知っている人たちが、放射能の影響を正しく知り、福島に暮らす人々の苦しみを共にしながら、正確なEM情報を伝えていくことが、これからますます大切になっていくと思われます。
この緊急セミナーの趣旨に賛同した方々によって、各地で同様なセミナーが開催される予定です。


[放射能関連報告の要約]
㈱岩手コンポスト・菅原萬一さんの報告
農林水産省は、昨年の6月、放射性物質を含む下水やし尿などの汚泥を肥料の原料として利用する場合、放射性セシウム濃度は1kg当たり200ベクレル以下とする基準を示した。原子力災害対策本部は、これまで汚泥を活用した肥料などは当面、製品の出荷を自粛するのが適切とするだけで、基準を示していなかった為、検出された汚泥をどう処理したらいいのか困惑が広がっていた。一関市や水沢市で200ベクレルほど出ていたので、7~8月には受け入れをストップ。ところが、6月初めに作った資材を6月末に測定したらNDとなった。そこで、原料の汚泥1?に対して資材4?入れて、8月に測定すると57ベクレル。これをフレコンバッグに詰めて寝かせて10月下旬に測定したところNDになった。岩手県工業試験所の放射能の専門家に聞いてみたが、「そんなことはありえない。工場のどこかに残っているはずだ」という返事だった。どの放射能の先生に聞いてみても同じくありえないという返事だった。数値が低いことが確認されたこの堆肥は、大船渡市の魚の死骸の悪臭対策に使われた。汚泥以外にもリサイクル基盤材ということで、工事で出てくる木や草などを堆肥化して、則面吹きつけ基盤材や土壌改良材として作っている。こちらも4月に測定すると128ベクレルあり、それに一般廃棄物も取り扱っている関係上、架線の下などの草、刈り取った草なども引き受けているので検査したところ147ベクレルあった。これも堆肥化して発酵させたらどうなるかと実験するとこちらも10月下旬にはNDに。EM研究機構が福島県富岡町でこの基盤材40リットル詰め約980体を使い、桜の樹勢回復のために試験的に使っている。なお、数値が落ち着いたこともあって、岩手コンポストでは今年1月から汚泥の受け入れを再開。3月からは通常通り堆肥を出荷している。
 
㈱マクタアメニティ・幕田武広さんの報告
 微生物などの利用による放射能除去は、今まで世界的にも歴史的にも取り組まれていなかった分野で、放射能をなくすことや除くという本来の意味の除染を立証することはなかなか難しいと言われているが、金沢大学の田崎和江名誉教授などが地場にいる微生物を使って、汚染物質にアプローチして除去する試みが行われている。グループの50軒以上(震災前の数)の農家は、EMで発酵させた肥料、廃棄物を発酵させてつくったEM発酵堆肥を使い分けながら、地域内の廃棄物を有効に使用して、循環型の環境保全と有機農業に貢献きたが、このシステムが、放射能にも有効に働いた。この成果を体系化してどう世界に広げていくかが、私たちに課せられたミッション。もし、それができたら、福島県はもとより、放射能汚染地帯の風評被害を根本から改めさせる力となるのではないか。また、美味しさという点でも、EM栽培の野菜が一番よいという結果が出ている。今後は、こういう数値も含めて、セシウムの数値や栽培法、どんな資材を使っているかなど、すべての情報を提示していきたい。
岩井和廣さんの報告
 除染活動を行っているのは、宮城県と福島県の県境にある「松坂峠」。千葉県の酒造メーカー寺田本家の山林(丸森町内)の一部と現在は休耕中の自社水田を除染している。線量は平均で0.8~1.0マイクロシーベルトくらいと、かなり高い汚染地区。約1haの敷地に11月16日、EM活性液5t、米ヌカペレット750kg、12月3日、EM活性液を10tまいた区域内8か所(無処理区1か所)で放射線量を測定したところ、無処理地区の減少率は8%であったのに対して、EM処理区では最大64%も減少するという結果が出た。
 茨城県北部では、800~1000 ベクレルある剪定枝を細かく砕いて豚小屋に入れている。それが571 ベクレルまで下がってそれを出荷しようとしたら400以下にまで下げてくれということだった。そのため、EMボカシをとEM活性液をかけたところ、9日間で316 ベクレルになったが、その後の変化は遅い。また、約0.2マイクロシーベルト の剪定枝を入れた田んぼの土は約650 ベクレルだったので、「空間線量が0.2 マイクロシーベルトあると土壌のほうは600 ベクレルぐらいになるかもしれない」と推測している。灰もEMボカシと活性液で発酵させて実験するつもりだ。

会津若松市 渡部政子さんの報告
 住まいは原発から100km。現在の放射線量は、0.1 マイクロシーベルト、震災当初は0.56 マイクロシーベルトあった。手も足もぼろぼろになり、これは、大変なことになったと思い、射能の影響を少なくする何かいいものはないかとインターネットで探した。
 EM活性液をまくに当り、簡易のEM活性液の容器を15万円ほどで購入した。畑(1反)にまいたときも0.25 マイクロシーベルトから段々と減少した。最初は毎月2回ジョウロでまいていたが8月頃にはモーターつきの噴霧器を購入して、作付けしているところは500倍、していないところは100倍、もしくは20倍の濃度で撒いた。
「日の当たらない苔が生えるところが、放射線量が高い」と教えてもらい、自分のところも測ってみたところ、0.6マイクロシーベルトあり、そこにEM活性液とボカシを混ぜてまいたところ、一時なぜか0.75 マイクロシーベルトに上がってしまったが、1か月後には0.15 マイクロシーベルトまで下がった。
 2月現在の自宅の庭・畑の空間線量は0.1 マイクロシーベルトで、会津若松の平均的な線量と変わりない。1ヶ月や2ヶ月でのスパンではなく、2年3年のスパンでまき続けようと思っている。お風呂に活性液を入れているせいか、インフルエンザはもちろん風邪もひかない。周りの幼稚園・小学校もEMを撒いているところはインフルエンザは流行ってないようだ。
           
川崎市 金子慈教さんの報告
 家族を守れる可能性が出てきた!
 福島第一原発事故当初からかなり危機感を持って避難も考えた。10月にはめまいや軽い吐血が出て体調を崩した。その後、「放射能から子どもを守る会」に参加、初めて野呂さんの講演を聞いて放射能対策の活動を始めた。
 住まいのある神奈川県川崎市は、福島原発から約230km。カウンターで測ったところ、0.06 マイクロシーベルトだったが、東京工業大学の先生にゲルマニウム半導体で測ってみてもらったところ、自宅の庭でセシウム134が1332 ベクレル、137が1712 ベクレル出ていた。
活性液は、EM米のとぎ汁(金子家では福岡県産のEM米を食べている)にEM1、糖蜜、EM3を加えている。pH3.1前後の活性液とEMセラミックスを四方にまいた結果、10月末 0.1 マイクロシーベルトが11月13日には 0.07 マイクロシーベルトに減少した。
 近所の公園の土壌にEM活性液を散布したり、EMセラミックスを四方にまいたり、活性液を40℃にあたためてからまいたりといろいろ工夫して実験してみた結果は、セラミックスをまいたときと、EM活性液を温めてから散布した方法の減少率が高かった。
 また、車のエアコンの吹き出し口に温めたEM活性液とEMセラミックスを散布した結果、やはり減少傾向が見られ、自宅玄関先のアスファルト(ホットスポット)でも、減少という結果が出た。
 どの場所でも、EMを用いるとα・β・γ線共に安定的といえないがゆっくりと放射線カウントのピークが減少していった。β線の射程距離は大人にとっては防護できる距離にあるが、子どもにとっては心配。玄関先のホットスポットでは子どもを走らせて学校に行かせている。放射線はEMで減らせると確信している。